福井県の盲導犬

盲導犬は視覚に障害のある方の歩行を助ける大切なパートナーです。現在、福井県では5頭の盲導犬が活躍しています。
このページは、福井市で盲導犬マレックと過ごされている伊登利江(いとうとしえ)さんからいただいた手記をもとに作成しました。盲導犬を理解くださる方がもっともっと増えることを願っています!
(2003年11月 Takashima)
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Hello, everybody!!

ぼくがマレックです!
ボクはオーストラリア生まれの盲導犬、マレックです。
生まれて1年と3ヶ月の時に日本に来たんだよ。よろしくね!
日本に来てから大阪のトレーニングセンターで盲導犬になるためのトレーニングを受けたんだ。
とっても難しくて大変だったけど一生懸命練習して、ちゃんとお仕事できるようになって、福井市の伊登利江(いとうとしえ)さんのパートナーになりました。
ボクのご主人になった伊登(いとう)さんはどんな人かなあって、最初はちょっぴり緊張してたけどすぐに仲良くなれたよ。クーン  クーン!
ボクが上手にお仕事するとご主人は、「Good! Good!」って、たくさんほめてくれるから、ボクうれしくて、ますます張りきってお仕事しちゃうんだ。
ご主人にとって、ボクは3頭目の盲導犬。先輩たちに負けないように頑張るよ!!

 「マレック、おはよう!!」

おうちでリラックス^^)
「マレック、おはよう!!」と声をかけると、マレックはベッドから飛出してきて、しっぽをちぎれるほど振りながら私の体に自分の体をすり寄せて、クーンと一声、おはようの挨拶をしてくれる。
私の一日は盲導犬とのスキンシップで始まります。
そして、そんな朝を迎えるようになってから17年がすぎました。
今年、身体障害者補助犬法が全面施行されたのをきっかけにこの17年間を振り返ってみました。
※身体障害者補助犬法については、こちらをご覧下さい。

盲導犬を持って良かったこと

ショッピング中の写真
中途失明の私にとって、白杖での歩行はとても大変でしたが、盲導犬との歩行では目が見えていた頃とほとんど同じ感覚で歩くことが出来るようになりました。
初めて盲導犬と歩いた時の喜びと爽快感を今でもはっきりと覚えています。

盲導犬と外出するようになって

町の中や外出先で(デパート、スーパーマーケット、銀行、コンビニなど)声をかけてくださる方が多くなりました。パートナーの存在は、私だけでなく周囲の人たちの心をも和ませてくれるようです。
視力を失ってから、単独での行動範囲は限られていましたが期待していた以上の行動力がついて活動的な生活が出来るようになりました。
声をかけられました
たとえば、白杖での歩行の頃は、デパートの店内を一人で歩くことは出来ませんでしたが、盲導犬は店内の通路をしっかりと案内してくれるので一人でショッピングに出かけることもできます。
町を歩いている時、道に迷って自分の居場所が分からなくなることもありますがそんな時でも、パートナーがいてくれると心強いものを感じます。
ショッピング中の写真2

でも、いいことばかりではなかった・・

「お客さん、犬は困るよ。」と迷惑そうにタクシーの運転手さん。
「申訳ございませんが、当店では犬をつれての入店はお断りしていますので。」とレストランのウエイトレスさん。
「前例がありませんので、盲導犬同伴での診察は難しいかも…。」と、電話の向こうで口ごもっている病院の受付係りの人。

これでは困る!何とかしなくっちゃ!

お仕事中です
行動力がつくにつれて外出することが多くなった私は、時々、このような状況に直面しました。
当時、県内ではすでに3頭の盲導犬が活動していましたが、それでも、まだまだ盲導犬に対する理解は浅かったのです。
もちろん、快く受け入れてくださる場合もありましたが、拒否されることも多かったのです。
旅行の時に、盲導犬と一緒に宿泊できるホテルを探すことも、かなり大変な作業でした。
そして、何度かこのような状況に立たされて行くうちに、私の心の中に「これでは困る!何とかしなくては」という思いがだんだんと強くなって来ました。
なぜなら、盲導犬と生活を始めたために、かえって行動範囲が制限されてしまったら私が盲導犬を持った意味が半減してしまうからです。

まずは理解を深めることから

拒否するのは、盲導犬に接するチャンスが少ないため盲導犬についての知識が不足していて、ペットと同じようなレベルで考えられているケースが多いように思いました。
そこで私は、まず、自分が生活している地域で盲導犬に対する理解を深めていただくための地道な努力を始めました。
入店拒否や乗車拒否をされた時は、拒否する理由を聞いてそれから、相手の方の不安や疑問を解消するために盲導犬について丁寧に説明しました。

また、県内の学校から盲導犬についての講演の依頼があれば時間の許す限り講演に行きました。
こうして前向きに取組んでいくうちに少しずつ環境が開かれて拒否されることは少なくなっていきました。

環境の変化

病院内へ盲導犬を入れることを躊躇していた公立病院では、話し合いの結果、総合案内書で盲導犬を預かってもらって院内の移動は、病院の職員の方かボランティアの方に案内してもらうことになりました。
今では、案内所の方たちが盲導犬に会えることをとても楽しみにしておられます。
病院によっては、院内全て、診察室まで入れてくださるところもあります。

最近、あるファミリーレストランへ行きました。
ここは以前、入店をかたくなに拒否されたお店で盲導犬ではなく、猛犬を連れて行ったような扱いを受けたのです。
レストランにて

このお店に十数年ぶりに行ってみたのですが、今回は、何の問題もなく入店することができました。
このことを通して、盲導犬に対する社会の受け入れ方や考え方が良い方向に向かって変わりつつあることを実感しました。
机の下で待っています

共生と自己責任

カナダでは、白杖を使って歩行している視覚障害者はほとんど無く盲導犬を使用することが普通だと聞きました。この国では、町の中で盲導犬をよく見かけるそうで、視覚障害者が盲導犬と共に社会生活をすることは当然のこととして受け入れられているそうです。

日本でも、障害者とパートナーの補助犬が周囲に気がねすることなく、自然体で社会生活ができる日が来ることを願います。そのためには、使用者が責任を持ってパートナーの管理をし、外出時にはしっかりとコントロールしていくことが大切だと思います。

マレックのひとりごと

ご主人の伊登さんはパソコンをフルに活用してるんだよ。
メールはもちろん、インターネットでお買い物も!
パソコンに向かうご主人

美味しいご飯でちょっぴり太ってしまいました・・。
デパートではきつくなったハーネスのベルトに穴をあけてもらったよ。
ベルトに穴をあけてもらっています

毛が落ちないようにって、お出かけのときはコートを着せてくれるよ。
外出先で待ってるときには背中のポケットの中の新聞紙を敷いてくれるんだよ。
コートを着てお出かけ

マレックと私

マレックはボール遊びが大好き!
庭でボールを投げてやると、マレックは全速力でボールに向かって走って行く。
そして、ボールをくわえて私のところに戻ってくる。
マレックの口の近くに手をだして、「out」と言うとボールを口からコロリと落としてもっと投げてと催促する。
ボールを追って、庭を無邪気に走り回るマレックはとてもかわいい!
    
ごろりーん
マレックはお腹をなでてもらうのが大好き!
私や家族の誰かがリビングのソファーに座るとマレックはベッドからかけだして来て、足下にごろんと寝ころがる。
首やお腹を優しくなでてやるとトロンと目を細めて、とっても気持ちよさそう!
お仕事の疲れはとれたかな?

優しさに触れて

数年前、恐竜エキスポに行きました。
あるイベントの会場に入るために順番待ちをして並んでいたら、会場係りの人が来られて、別の入り口から先に入れてくださいました。
それで、パートナーがゆったりとダウンできる場所を探して座席につくことができたので大変助かりました。

水族館に行った時のことです。
電車を降りてから水族館までバスに乗りましたがバスを降りる時に運転手さんが「目がご不自由で大変ですね。盲導犬は賢いね!ホントに、よく訓練されてるんですね。」と声をかけてくださって、乗車料金を無料にしてくださいました。
運転手さんの優しい気持ちが伝わってきて心が温かくなりました。

補助犬に関しては、拒否の問題について取上げられることが多いのですが、決していやな体験ばかりではなく、周囲の人たちの暖かい配慮に触れることもたくさんあります。
問題点ばかりではなく、心温まる多くの体験談がいろいろな方法で社会に向けて発信されるといいのではないでしょうか。

感謝の気持ちを忘れずに

盲導犬は、生まれた時から仕事を引退して、その生涯を終えるまで、多くの方々のご支援を受けています。
盲導犬育成のために、日々奮闘してくださっている訓練士の皆様やいろいろな活動を通して背後で支えてくださっているボランティアの皆様には、いつも心から感謝しています。
今後も皆様への感謝の気持ちを忘れずに貸与していただいたパートナーを大切にして、パートナーと共に明るく前向きに人生を歩んで行きたいと思います。

最終更新日:2005年04月28日